忍者ブログ
統計、機械学習、AIを学んでいきたいと思います。 お役に立てば幸いです。

【Kaggle挑戦記】DNA Classification Dataset:データの取得と構造の確認

手書き文字認識の「Digit Recognizer」を経て、今回は「DNA Classification Dataset」に挑戦しました。今回はコンペではなく、データセットでの分析にチャレンジします。モデル作成の前に、データの入手手順、データの読み方、およびこのデータにおける予測ターゲットの考え方を整理します。

0. このデータセットの概要

「DNA Classification Dataset」は、ゲノムデータ分析、機械学習、およびバイオインフォマティクス研究のために設計された、3,000個の合成DNAサンプルを含むデータセットです。データの主な仕様は以下の通りです。

  • データ規模: 合計3,000行、13カラム(3,000サンプルのDNA配列および統計データ)
  • 入力データ: DNA配列の文字列に加え、GC含有率や各塩基の個数など、配列の統計属性があらかじめ特徴量として含まれています。
  • タスク: 与えられたDNAデータから、目的変数(ターゲット)を切り替えることで、生物種の分類や変異の有無、リスクの予測など、複数の異なる検証を行うことができる多角的な構造になっています。

通常のコンペと異なり、最初から特定のテストデータや単一のゴールが分かれて提供されているわけではありません。Kaggle側での自動採点もないため、手元にある3,000行のデータを自分で分割し、設定したタスクごとに交差検証(クロスバリデーション)によって手元で予測精度を評価・検証していく必要があります。

1. データの入手

データの取得手順は以下の通りです。

  • Kaggleにログインします。
  • 検索窓で「DNA Classification Dataset」を検索します。
  • 該当する「DNA Classification dataset」を選択します。
  • 右上のダウンロードから、ZIP形式でダウンロードします。
  • ダウンロードしたZIPファイルを適当なディレクトリで展開します。

展開すると、ディレクトリ内に「synthetic_dna_dataset.csv」ができます。

2. synthetic_dna_dataset.csvの解説

展開して得られたCSVファイルの中身を確認しました。このデータセットに含まれる13個のカラム一覧とそれぞれの解説は以下の通りです。

カラム名解説
Sample_ID 各DNAサンプルの固有の識別子(ID)
Sequence DNAの配列データ(A, T, C, Gの文字列)
GC_Content 配列中におけるグアニン(G)とシトシン(C)の割合(%)
AT_Content 配列中におけるアデニン(A)とチミン(T)の割合(%)
Sequence_Length 配列の総文字数(長さ)
Num_A 配列中に含まれるアデニン(A)の個数
Num_T 配列中に含まれるチミン(T)の個数
Num_C 配列中に含まれるシトシン(C)の個数
Num_G 配列中に含まれるグアニン(G)の個数
kmer_3_freq 3文字の塩基トリプレット(3-mer)の平均出現頻度スコア
Mutation_Flag 変異の有無を示すバイナリフラグ(0 = なし、1 = あり)。【予測ターゲット候補1:二値分類】
Class_Label サンプルの分類クラス(Human / Bacteria / Virus / Plant)。【予測ターゲット候補2:多値分類】
Disease_Risk サンプルに関連するリスクレベル(Low / Medium / High)。【予測ターゲット候補3:多値・順序分類】

このデータセットの特徴は、ゴールとなる目的変数を何に設定するかによって、全く異なる予測モデルの検証ができる点にあります。配列データや、あらかじめ計算されている塩基の個数などの特徴量をベースにして、どの予測タスクからアプローチするかを自由に選択できる構造になっています。

複数の予測タスク:生物種分類(Class_Label) / 変異判定(Mutation_Flag) / リスク予測(Disease_Risk)

配列のゆらぎや塩基の統計的特徴を組み合わせることで、それぞれのターゲットに対してLightGBMがどのように境界線を学習するのか、切り口を変えて複数の検証を回せるデータ構成となっています。

3. 今後の流れ

あらかじめ塩基の個数や割合といった数値の特徴量が豊富に用意されているため、生の文字列(Sequence)を加工しなくても、初期の数値データだけでLightGBMに投入可能な構造になっています。まずはこの綺麗なデータセットが手元に用意できたので、ここからどのタスクの検証作業に入るかを決定します。


次は、これらの予測候補の中から最初のターゲットを決定し、交差検証を回すための前処理を進めていきます。



PR

【Kaggle挑戦記】Digit Recognizer:画像認識にLightGBMで挑む

S4E11の「名前(Name)」というノイズとの戦いを経て、今回は心機一転、画像認識の登竜門である「Digit Recognizer(手書き数字認識)」に挑戦しました。 画像認識といえばディープラーニング(CNN)が定石ですが、まずは慣れ親しんだLightGBMで「どこまで通用するか」をデバッグします。

1. 戦略:画像を「784個の変数」と見なす

28x28ピクセルの画像データを、意味を持つ「形」として捉えるのではなく、0から255の数値が入った784個のカラムとして扱います。 Macのローカル環境(ターミナル)にて、以下の多クラス分類(0〜9)用パラメータで実行しました。

params = {
    'objective': 'multiclass',
    'num_class': 10,
    'metric': 'multi_logloss',
    'verbosity': -1,
    'boosting_type': 'gbdt',
    'learning_rate': 0.1
}

2. 実行結果:Macターミナルのログ

学習はスムーズに進み、検証データにおいて非常に高い精度をマークしました。

Training until validation scores don't improve for 50 rounds
Did not meet early stopping. Best iteration is:
[100] valid_0's multi_logloss: 0.0857917

--- Validation Accuracy: 0.97417 ---
--- Submission file created: submission_digit_lgb.csv ---

3. リーダーボードの結果

Kaggleへ提出した結果、最終的な正解率は以下の通りとなりました。

正解率:0.97139

画像認識の専用モデルを使わずとも、約97.1%という精度を叩き出すことができました。 これは「ピクセルごとの輝度値」だけでも、数字の特徴を捉えるには十分な情報量が含まれていることを示唆しています。

4. 考察:エンジニアとしての気づき

前回のS4E11では「データの中身(Name)を疑う」ことが鍵でしたが、今回は「純粋な数値のパターン」が勝負でした。

  • 特徴量の多さ: 784個の変数を同時に扱う負荷も、Macのローカル環境で軽快に処理できました。
  • 多クラス分類の挙動: 0か1かの二値分類とは異なり、10種類の確率を計算する「multiclass」の動きをログから確認できたのは収穫です。

97%を超えたここから先は、CNNを導入して「形や線のつながり」を学習させる領域になります。 しかし、エンジニアの「手癖」としてのLightGBMが、画像認識においてもここまで強力なベースラインになることを確認できた、実りある修行となりました。


次なる実戦「Playground Series S4E12」の開始、あるいは地質予測の新コンペへの参戦に向け、 この「数値の羅列をねじ伏せる感覚」を研ぎ澄ませておきたいと思います。



【Kaggle挑戦記】S4E11 #2:ノイズを削って精度を出す。名前(Name)削除の劇的ビフォーアフター

前回、予測の重要度ランキングで「Name(名前)」が1位という、エンジニアとして看過できない「仕様バグ」に近い状態に直面しました。 今回はこの不適切な依存関係を排除し、コードをリファクタリングして再挑戦した結果を報告します。

1. 実装:不要な依存関係を排除した「クリーン」なモデル

「名前で予測する」というハードコーディングに近い過学習を防ぐため、物理的にカラムをドロップしました。 また、コンペの締め切り後(After Deadline)でも確実に評価を通すため、型変換と出力を最適化した「修正版コード」を投入しました。

import pandas as pd
import lightgbm as lgb
from sklearn.preprocessing import LabelEncoder

# 1. データの読み込み
train = pd.read_csv('train.csv')
test = pd.read_csv('test.csv')

# 2. 前処理:ターゲットの数値化
le = LabelEncoder()
if train['Depression'].dtype == 'object':
    train['Depression'] = le.fit_transform(train['Depression'])

# 3. 特徴量の選択(「名前」を明示的にドロップ!)
drop_cols = ['id', 'Name']
X = train.drop(drop_cols + ['Depression'], axis=1)
y = train['Depression']
X_test = test.drop(drop_cols, axis=1)

# 4. カテゴリ変数の処理(LightGBM用)
cat_cols = X.select_dtypes(include=['object']).columns.tolist()
for col in cat_cols:
    X[col] = X[col].astype('category')
    X_test[col] = X_test[col].astype('category')

# 5. モデルの構築
params = {
    'objective': 'binary',
    'metric': 'binary_error',
    'verbosity': -1,
    'random_state': 42
}

model = lgb.LGBMClassifier(**params)
model.fit(X, y)

# 6. 予測と提出ファイルの作成
submission = pd.DataFrame({
    'id': test['id'],
    'Depression': model.predict(X_test)
})
submission['Depression'] = submission['Depression'].astype(int)
submission.to_csv('submission_final.csv', index=False)

2. コンソール出力:健全なランキングへの変遷

実行後、コンソールに表示されたランキングは、前回とは全く異なる「納得感」のある顔ぶれになりました。 可読性のために標準的なログスタイルで出力結果を記載します。

--- Submission file created successfully! ---
            feature  importance
2             City          494
12            Degree          388
4          Profession          359
1                Age          315
15  Financial Stress          224

3. スコア:ノイズを消して「実力」が向上

締め切り後(After Deadline)のLate Submissionですが、結果は意外なものでした。 名前を消したことで、むしろスコアが上昇したのです。

指標前回(Nameあり)今回(Nameなし)
Public Score 0.94008 0.94152 (↑)
Private Score 0.93868 0.93961 (↑)

4. 考察とまとめ

「名前」という強力なノイズがモデルを惑わせていたことが、スコアの向上によって証明されました。 不要なカラムを削除したことで、モデルが「City(都市)」や「Degree(学位)」といった、メンタルヘルスに真に影響を与えるコンテキストに集中できるようになった結果です。

「なぜ動くか分からないコード」を放置せず、違和感のある変数を削ぎ落とす。 バックエンドのデバッグと同じ姿勢で取り組むことが、Kaggleにおける精度向上にも直結することを実感した一戦でした。


Kaggleの履歴に「After Deadline」と「Error」のログが残ることは、試行錯誤の証。 次の「本物のコンペ」では、このデバッグの知見を最初からぶつけていきたいと思います。



【Kaggle挑戦記】S4E11 #1:全特徴量を投入して見えた「名前」の怪しい貢献度

KaggleのPlayground Series S4E11「メンタルヘルス予測」に参戦しました。 まずはエンジニアとしての定石通り、複雑な加工はせず「まずは動くもの」を目指します。 今回はあえて「id以外の全特徴量をぶっ込む」という、力押しのベースライン構築からスタートです。

1. 戦略:全件投入のフルスキャン・アプローチ

「どの変数が有効か?」と悩む前に、LightGBMの処理能力を信じて全データを投入しました。 通常なら除外するはずの「Name(名前)」カラムも、あえてそのまま。 カテゴリ変数は、LightGBMのcategory型にキャストするだけで、内部的に最適化されるように実装しました。

# 特徴量は全投入(idのみ除外)
X = train.drop(['id', 'Depression'], axis=1)
y = train['Depression']

# 全object型カラムをcategory型へキャスト
cat_cols = X.select_dtypes(include=['object']).columns.tolist()
for col in cat_cols:
    X[col] = X[col].astype('category')

2. リザルト:驚愕のスコアと「ログ」の違和感

Macで実行すること数秒。生成されたsubmission.csvをSubmitした結果、驚きのスコアが返ってきました。

Public Score: 0.94008 / Private Score: 0.93868

いきなり0.94超え。しかし、エンジニアとして「中身」をデバッグせずに喜ぶわけにはいきません。 モデルが何を根拠に判断したか(Feature Importance)を確認したところ、奇妙な事実が判明しました。

--- Feature Importance (Top 5) ---
1. Name : 1308
2. City : 223
3. Age : 204
4. Financial Stress : 174
5. Profession : 159

3. 考察:なぜ「名前」の貢献度が異常に高いのか?

予測の決め手が、年齢や仕事のストレスを差し置いて「Name(名前)」になっています。 バックエンドのロジックとして考えれば、名前の文字列そのものがメンタルヘルスに影響を与えるはずがありません。

考えられる仮説はいくつかあります:

  • 過学習(Overfitting): モデルが名前をユニークなキーとして認識し、個々のデータを「暗記」してしまった。
  • データリーク: 名前の付け方や順序に、正解データへのヒントが紛れ込んでいる(システムバグに近い状態)。
  • プロキシ変数の可能性: 名前が特定の居住地域や年齢層、あるいは家系的な背景を代理してしまっている。

4. まとめ:次回のデバッグ指針

「全部入り」で投げた結果、0.94という高いベンチマークと同時に、「名前という名の巨大なノイズ(あるいは不正解)」を炙り出すことができました。

この「名前」がスコアを不当に押し上げているのか、それとも何か深い意味があるのか。 次回は「Name」をdropした状態で再学習を行い、モデルの真の実力をデバッグしてみたいと思います。




【Kaggle挑戦記】S4E11 #1:メンタルヘルス予測コンペ参戦。LightGBMで「0.94」の初陣

次なるターゲットに選んだのはKaggle Playground Series S4E11。 実在のアンケート結果をベースにした「メンタルヘルス(うつ病)の予測」です。 実務的なデータ構造を相手に、まずは何も考えずLightGBMでベースラインを構築してみました。

1. コンペの概要:生体ログから「心の状態」をデバッグする

今回のミッションは、年齢、性別、仕事のストレス、睡眠時間、食事習慣といった多角的なデータから、 対象者がうつ病(Depression)の状態にあるかどうかを予測する2値分類です。

主要な特徴量エンジニア的解釈
Academic/Work Pressure システムの負荷状況(リソース逼迫度)
Sleep Duration / Dietary Habits メンテナンス(自己回復)のログ
Financial Stress 外部環境によるエラー因子

2. 実装:特徴量は「すべてぶっ込んだ」最短ルート

「どの項目が重要か?」を人間が考える前に、まずはマシンパワーに任せてみます。 今回はID以外の特徴量をすべてぶっ込み、カテゴリ変数はLightGBMのcategory型指定で一気に処理する、いわば「全件スキャン」的なアプローチをとりました。

通常なら除外するはずの「Name(名前)」のような文字列データも、モデルがどう解釈するかを見るためにあえて残しています。

import pandas as pd
import lightgbm as lgb
from sklearn.preprocessing import LabelEncoder

# データの読み込み
train = pd.read_csv('train.csv')
test = pd.read_csv('test.csv')

target_col = 'Depression'

# ターゲットの数値化
le = LabelEncoder()
train[target_col] = le.fit_transform(train[target_col])

# 特徴量は全投入(idのみ除外)
X = train.drop(['id', target_col], axis=1)
y = train[target_col]
X_test = test.drop(['id'], axis=1)

# カテゴリ型への一括変換
cat_cols = X.select_dtypes(include=['object']).columns.tolist()
for col in cat_cols:
    X[col] = X[col].astype('category')
    X_test[col] = X_test[col].astype('category')

# モデル構築(2値分類:Binary)
model = lgb.LGBMClassifier(objective='binary', random_state=42)
model.fit(X, y)

# 予測と提出ファイルの作成
submission = pd.DataFrame({
    'id': test['id'],
    target_col: model.predict(X_test)
})
submission.to_csv('submission.csv', index=False)

3. 結果と考察:見えてきた「データの罠」

初回のSubmit結果は以下の通りです。

Public Score: 0.94008 / Private Score: 0.93868

なかなかの高スコアですが、Feature Importance(重要度)を見るとデバッグすべき点が見つかりました。

--- Feature Importance Top 5 ---
1. Name              : 1308
2. City              : 223
3. Age               : 204
4. Financial Stress  : 174
5. Profession        : 159

「Name(名前)」が重要度のトップに君臨しています。 「全特徴量投入」の結果、モデルは名前に含まれる特定のパターン(あるいは個別のID的な性質)を、うつ病の判定材料として「暗記」してしまったようです。 これは典型的な過学習の予兆であり、システム開発で言えば「テストデータのみに通るハードコーディング」に近い状態かもしれません。

4. まとめと次回の課題

まずは「動くもの」を作り、0.94というベンチマークを得ることに成功しました。
次回は、この「Name」というノイズを除去した際にスコアがどう変化するか、そしてLog Lossを意識した確率予測のチューニングに挑みます。